剛柔呑吐 攻防自在
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コラム「日本人のツボ」

戦うときの心得

2015/03/30

それは、ぶらり出かけた古本屋で見つけたある本との出合いだった。

日本文化(沖縄人、沖縄文化も含む)の源流を知りたくて、『古事記』に関心をもち現代語訳から個人の新釈本などを読んできたのだが、どうも神代の世界がさっぱり分からない。伝承とか伝説は単なる憶測、想像とかで出来上がっているものではなく、それが書かれた時代背景と作者の意図はあるとしても、意図された表現の中に史実に基づいた「真実」が具体的に見える形であるはずだ、との思いがあった。

そうした漠とした疑念を打ち払ってくれたのが、古代文書『ホツマツタヱ』である。難解な文書だが、それを物語としてわかりやすくまとめたのが『ホツマ物語 神とオロチ』(鳥居礼著、新泉社刊)である。

「ホツマ」とは「ほんとうの」「ホンマの」という意味で、「ツタヱ」は「伝え」のこと。景行天皇(『日本書紀』によれば第12代、在位60年)の時代、三輪系の剣の臣(とみ)オオタタネコの編纂による古代文書で、全編五七調の和歌の形式をとり、漢字が中国から入ってくる以前に使われていた古代文字で書かれている。その内容は『古事記』『日本書紀』には抜け落ちていて、言霊・和歌・医術・道徳・年中行事・占い・馬術・神社の起源・地名の起源・古代の祭り・宇宙の法則など、日本文化を深く知るうえで欠かせない内容を持っている、という。興味のある方はぜひ一読をお勧めする。

さて、古代は争い事の絶えない時代だったのだろう。各地の法体系を次々と崩して無秩序になった国々に動物霊を利用するハタレの魔軍が湧き起こった。このハタレ魔軍は心がねじけ、頭の回転が極端に速く、動物の霊をあやつって人をたぶらかし、奢る心が強く術を競い合い、一日に三度みずからその炎に焼かれて苦しむという。こうしたハタレの不穏な動きに日高見(東北)の高天の原(たかまのはら)では、アマテルを中心に重臣が集まり、「ハタレを破れ!」と神軍を結成する。その禊(みそぎ)役となるカサナキが戦うときの心得として挙げたのが次の5つである。

  1. 1:私心を無くすこと。
  2. 2:慈悲の心で神の形をあらわすこと。
  3. 3:心の中心をいつも素直に保ち、天界の神と通じること。
  4. 4:事無きを保つよう心がけること。するとふしぎな日の霊気を得ることができる。
  5. 5:柔(やわら)いだ心。柔ぎこそが最大の手段なのだ。

この「戦いの心得」五箇条を読んだとき、筆者はハッと剛柔流空手道の基本形に思いを移した。

1から3の心得は「サンチン(三戦)」に通じ、4と5は「テンショウ(転掌)」に通じるものがある、と。さらに開祖の宮城長順の遺訓「人に打たれず人打たず、事無きをもととするなり」が頭をよぎった。剛柔流の力の神髄を究めた開祖ならではの厳しくかつ慎みのある言葉である。

それにしても時代が変わろうといつの世も、どの世界にもハタレ魔軍のような輩がいるものだ。本来人は清明で無垢のままで生まれてきたのだが……。(無胆)

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